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「夜は短し歩けよ乙女」

夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
う~ん。紹介文としてはこんな風になるんでしょう。(笑) 久しぶりの小説だったけど、意外にも大いに楽しめた一冊。


森見 登美彦の本は初めてだったのだけど、古めかしくもおちゃらけた文体と、舞台となった京都の町並み、そこで描かれる破天荒かつ幻想的な世界に、最初は少々戸惑いながらも、読み進めていくうちに引き込まれてしまった。

以下本書より引用。。

『おともだちパンチ』をご存知であろうか。たとえば手近な人間のほっぺたへ、やむを得ず鉄拳をお見舞する必要が生じた時、人は拳を堅く握りしめる。(中略)しかしここで、いったんその拳を解いて、親指をほかの四本の指でくるみ込むように握り直してみよう。こうすると、男っぽくいごつごつした拳が、一転して自信なげな、まるで招き猫の手のような愛らしさを湛える。こんな拳ではちゃんちゃら可笑しくて、満腔の憎しみを拳にこめることができようはずもない。かくして暴力の連鎖は未然に防がれ、世界に調和がもたらされ、我々は今少しだけ美しきものを保ち得る。

・・・万事がこんな感じの文体で進むのである。(笑)
物語は、持ち前の天真爛漫な愛らしさ(天然ボケ)を武器に夜の繁華街から古本市、策略渦巻く学園祭までをズンズン突き進む黒髪の乙女こと「彼女」と、そんな彼女に一歩間違えばストーカー的なまでの狂おしい恋心を抱く理屈っぽい「私」が、相互に語りを交換しながら進んでいく。

登場人物は皆個性的で時代錯誤、描かれる不思議な事象もどこか浮世離れした、なんというか「千と千尋の~」に出てくる湯屋なんかを思わせるようなファンタジックでノスタルジックな雰囲気を湛えている。

不思議でおかしなエピソードが、なんとなく繋がっていく感じが楽しいのです。

というわけでオススメです。

4048737449夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦
角川書店 2006-11-29

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