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「雪が降る」

雪が降る」 藤原伊織
母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。苦い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の六篇。
藤原伊織は3冊目かな。今回は短編集。

藤原伊織の文章は結構好きだ。短く、シンプルに頭に次々と入ってくる。だから緊迫感のあるシーンではテンポが損なわれることがないし、感傷にひたるような時もしつこくない。ドラマチックな演出もくどさが感じられずに割と素直に読めてしまう。
そんな感じ。

「台風」
会社で隣の部署の元部下が上司を刺すというショッキングな事件を目撃した帰り、電車の窓から強い雨が降るのを見て、主人公は過去に目撃した「殺人者」を思い出す。主人公の回想の中で描かれる少年の目から見た男女の恋、そして突然の殺意。少々ビリヤードのシーンが長く感じたが、全体としては良い。

「雪が降る」
タイトルとなった短編でもあり、「母を殺した」という少年からのショッキングなメールで話は始まるが、とてもロマンチックな話。

「銀の塩」
なんと主人公は、「テロリスト~」の島村。彼が新宿のバーテンとなり事件が起こる前の、逃亡の日々に起こった1つのエピソードとして書かれている。アパートの隣人である外国人ショヘルに誘われて行った避暑地。そこで起こった事件の顛末。
これはイマイチ。島村の洞察力の鋭さみたいのが唐突過ぎて逆効果。

「トマト」
短くて、ちょっと意味不明な感じ。^^

「紅の樹」
十八番のハードボイルド。ヤクザから足を荒い、ひっそりと暮らす堀江。隣に越してきた子連れの女、静江が分かれた夫の借金が原因でトラブルに。。少しずつ静江に魅かれていた堀江の決断とは・・みたいな感じ。良い。

「ダリアの夏」
夏。配送業者でアルバイトをする孝志は、荷物の届け先で篠崎由利と出会う。彼女の家の庭にはむせかえるように赤いダリアの花が咲き乱れていた。やがて、彼女とその息子、そしてそこで同居する老人との間にはある過去が・・
これもなかなか。春なのに、夏の雰囲気や色彩が伝わってきた。

雪が降る
藤原 伊織

講談社 2001-06
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