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「3人の最悪な人生」

最悪」 奥田英郎
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
前回、コメントで推薦してもらったのを読んでみました。

なかなか面白かった。真面目一徹で鉄工所を切り盛りしてきた川谷、奔放・わがままに振舞う妹を横目に「良い子」でいることが身に染み付いてしまった銀行員のみどり、何の希望もなくパチンコとカツアゲで日々をやりすごすニートのチンピラ和也。それぞれ悩みを抱えた3人が、わずかなボタンの掛け違いから次第に逃れられない不幸、まさに「最悪な状況」へと転がり落ちていく。この3人のエピソードが、人称のきっちりした使い分けとともに、カメラが切り替わるように代わる代わる進行していき、最後に1つに繋がっていくあたりが、ありがちな展開であるけれども読んでいて気持ちがよかった。

3人皆が、「何でこんなことになるのだ」「どうして自分ばかりがこんな目に」と自分の不運を呪うのだが、結局、誰の人生でもそうした悩みや、一歩間違えるだけで奈落の底に落ちてしまうことがあるんだろう。そして、それはいつも本人にしかわからないコンテキストがあり、他者の目を通して見れば、理解不能だったり奇妙だったりすることもある。

そんな感じ。

最悪
奥田 英朗

講談社 2002-09
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