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70 本でも読むか Archive

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
う~ん。紹介文としてはこんな風になるんでしょう。(笑) 久しぶりの小説だったけど、意外にも大いに楽しめた一冊。


森見 登美彦の本は初めてだったのだけど、古めかしくもおちゃらけた文体と、舞台となった京都の町並み、そこで描かれる破天荒かつ幻想的な世界に、最初は少々戸惑いながらも、読み進めていくうちに引き込まれてしまった。

以下本書より引用。。

『おともだちパンチ』をご存知であろうか。たとえば手近な人間のほっぺたへ、やむを得ず鉄拳をお見舞する必要が生じた時、人は拳を堅く握りしめる。(中略)しかしここで、いったんその拳を解いて、親指をほかの四本の指でくるみ込むように握り直してみよう。こうすると、男っぽくいごつごつした拳が、一転して自信なげな、まるで招き猫の手のような愛らしさを湛える。こんな拳ではちゃんちゃら可笑しくて、満腔の憎しみを拳にこめることができようはずもない。かくして暴力の連鎖は未然に防がれ、世界に調和がもたらされ、我々は今少しだけ美しきものを保ち得る。

・・・万事がこんな感じの文体で進むのである。(笑)
物語は、持ち前の天真爛漫な愛らしさ(天然ボケ)を武器に夜の繁華街から古本市、策略渦巻く学園祭までをズンズン突き進む黒髪の乙女こと「彼女」と、そんな彼女に一歩間違えばストーカー的なまでの狂おしい恋心を抱く理屈っぽい「私」が、相互に語りを交換しながら進んでいく。

登場人物は皆個性的で時代錯誤、描かれる不思議な事象もどこか浮世離れした、なんというか「千と千尋の~」に出てくる湯屋なんかを思わせるようなファンタジックでノスタルジックな雰囲気を湛えている。

不思議でおかしなエピソードが、なんとなく繋がっていく感じが楽しいのです。

というわけでオススメです。

4048737449夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦
角川書店 2006-11-29

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月館の殺人

月館の殺人おたんこナース」や「Heaven?―ご苦楽レストラン」の佐々木倫子が描いた長編ミステリー漫画、ということで「上」巻が書店に並んだ時から目をつけていて、この度「下」巻が出たということで早速購入したのがこの「月館の殺人」。

で、感想はというと・・・・

全然つまらん。金返せ。ーー;

いや、何が駄目って、ストーリーと絵(と漫画の雰囲気)がバラバラ。
「佐々木倫子」独特のキャラクターの雰囲気というか、どこか緊張感がなかったり、随所で突っ込みを誘うような会話の運びだったりが、他の漫画では心地よいのだけれど、このお話の中ではむしろ興ざめ。
仮にも連続殺人事件が起こっているのに、能天気に騒ぎ立てる鉄道オタクや、思い込みが激しく天然ボケ気味の主人公に、だんだんイライラしてくる。

「ミステリー」を掲げておりながら、リアリティから常に目を逸らされ、登場人物に1人も「良心」となるような「まともな」人間が出てこない。

結局それが原因で、話の伏線や犯人探しを巡る肩透かしなんかも全部消化不良。
最後の最後に解決した後も、「へ?これって嘘じゃないの?こんなんでいいの?」みたいな感じ。
DEATH NOTE」みたいに漫画家とストーリー作家のコラボレーションで大成功する場合もあれば、本作みたいに共倒れになることもあるんだろうな。。

がっかりした、という話。

月館の殺人 上  IKKI COMICS月館の殺人 上 IKKI COMICS
佐々木 倫子 綾辻 行人


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こんだけ書いといて、アフィリエイト載っけてるのもいかがなものか?(笑)

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身」 東野 圭吾
数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ。天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか
ドラマ「白夜行」でにわかに注目を集めている東野圭吾。書店でも特設コーナーに著書が平積みで、その中の一作。 比類なき才能を持った数学者と物理学者の親友対決、みたいな感じ。

星は今回低めにつけさしてもらいました。

率直な感想としては、物語の骨組みが見え過ぎて個人的にはあまり入り込めなかった。
作者特有の理系的言い回し(感情表現の客観的記述というか何と言うか)は健在。なんとなく一文一文に美しさとかなめらかさが感じられないと思うのは僕だけでしょうか。
主人公の数学教師、石神の知性と特異な人格を強調しつつ読者の目を疑いの方向へ誘導し、後半で反転、彼の比類なき純愛を描くという構成自体は良いと思ったのだけど。。。
多作なだけに、ばらつきがあるのかなという印象を持ってしまいました。

4163238603容疑者Xの献身
東野 圭吾
文藝春秋 2005-08-25

サウスバウンド

サウス・バウンド」 奥田 英朗
僕の父さんは元過激派とかいうやつで、いつも家にいて小説を書いている。学校なんか行く必要ないとか言うのだけれだけれど……。少年の視点を通して、変わり者の父に翻弄される家族を描く、長編大傑作!
書店でも平積みになってるので見たことあるかと思いますが・・・面白い!!

主人公の二郎は小学六年生。東京の中野に住む都会の普通の小学生。変わっているのは父親の「一郎」だ。このお父さん、絵に描いたような反骨精神むき出しの闘士。
昔は学生運動に身を投じ、革共同とかいう左翼組織でリーダーを張ってたらしい。
自称フリーライターだが、ふだんは家でゴロゴロしており、役人・警察・先生の類が大嫌い。国民年金の支払いは公然と拒絶、息子の通学に反対。日本国民をやめたがっている。

こんな個性バリバリの父さんに振り回され、内ゲバ騒ぎに巻き込まれ、あげくの果てには家族みんなで沖縄の離島へ移住し、自給自足の生活へ。。
小学6年生の主人公を通した学校生活や沖縄での島民生活が鮮やかに描かれ、破天荒な父親を台風の目として、波乱の中から家族の結束が固まっていくまでがテンポ良く描かれており、文句なく面白かった。^^

作者自身は、学生運動の経験もなく、左翼思想への傾倒もないということで、イデオロギー的な主張はほとんどなく、ひとつの「キャラ」要素としてアナーキストが描かれているところが面白い。

主人公にとっては、国家や営利主義になじめず、東京ではぐうたらするか公務員と喧嘩しかできない、迷惑以外の何者でもなかったオヤジが、沖縄離島での自給自足の生活では、頼もしい独立した男としてまぶしく映る。
読み終わると、なぜか、こんな大人げない「楽園」を追い求める父親が愉快に暮らせる、エアーポケットみたいな場所、パイパティローマがあってもいいんじゃないか、なんて思えてくる。
読後感も良くてマル。

4048736116サウス・バウンド
奥田 英朗
角川書店 2005-06-30

私という運命について

私という運命について」 白石 一文
冬木亜紀という女性の29歳から43歳までの出来事をつづった4編の書き下ろし。「冬の手紙」での亜紀は、結婚式の招待状の前で逡巡する29歳。大手メーカーに勤務する彼女は、何故、彼のプロポーズを受けなかったのかを考えながら、分かれる際に彼の母親から届いた手紙を読み直すことに。。「黄葉の手紙」の亜紀は33歳。転勤先の博多で年下のデザイナーと結婚を前提に付き合っている。お互いに運命を感じながらの順調な交際が続く折、ある事件がおきる。ほか2編。
本の雑誌「ダ・ヴィンチ」で「プラチナ本」と称して推薦されていた作品。上記あらすじにあるように、亜紀という女性の人生を4つの時点で切り取った短編からなる小説。 う~ん・・・女性はこれに共感するの?

主人公の亜紀は、大手メーカーに勤めており、仕事もできて容姿もよいという、はたから見て「カッコイイ」女性。その彼女が、29歳、32歳と年を重ねていくなかで、自分の幸せの定義に苦しみ、これまでの人生の選択の妥当性を疑い、やがて自分なりの答えを見つけていくという内容。

正直、この主人公の考え方や、随所での選択、幸せの定義の全てについて違和感を覚えた。個人として共感やロールモデルを期待して読むことはできない。
反対に、一歩引いて一人の女性の生き方として見た場合、どの程度の女性から共感が得られるのかも疑問。

29歳の章では、過去の恋人との結婚にふみきれなかった理由が、「相手があまりに凡庸に過ぎた」から。32歳の時、運命を感じて結婚を堅く決意していた相手にも、交通事故という極限状態での相手の態度に「幻滅」して一気に冷めてしまう。いずれの場合も、後に自分の理解の浅さと判断の早計さに気づくのだが、そうしたときに持ち出すのが「運命」という概念。

運命とは選択の積み重ねによって自分で掴み取るものか、
それともおおらかな心で受け入れることによって認識されるものなのか

がテーマのごとく語られるが、その実、うまくいかない現状、幸せでないことを「運命」のせいにして過去の選択を呪うか、自分の手の及ばぬ大きな流れのせいにするかを迷っているに過ぎないと思う。

何度も同じような後悔を繰り返しながらも、肥大化した自我を抑えきれず、他者に対する幻滅や叱責には躊躇がない。多くの年月をかけて至る結論が、「幸福」=「出産」であったり、「運命とは受け入れた上で、それを自分の力で守り通すことで初めて自分のものとなるもの」といった中途半端な弁証法的解決であったりするところもげんなり。

そんな運命だったら要らんわ!とか、こんな女は絶対にイヤ!とか思いながら読んだ1冊でした。ただね、そんな揺さぶり方もあるかなってのと、お話としてはそこそこ面白かったので2+1で★3つでした。

4048736078私という運命について
白石 一文
角川書店 2005-04-26

殺人症候群

警視庁人事二課の環敬吾が率いる影の特殊工作チームは、現代の必殺仕置人らしく、また鮮やかに悪を葬り去るはずであった。しかし今回の彼らの標的は、被害者の遺族に代わって復讐を果たそうとする「殺人者」であった。「症候群シリーズ」の掉尾を飾る問題作!
症候群シリーズってのは他に読んでいないのだけどね。犯罪被害者による復讐、それも代行による復讐がテーマの1冊。結論から言うと、星3つ・・・かな。

未成年犯罪者の更正に重きを置いた現行の法制度や、犯罪被害者の保護を扱った小説は他にも多く、そうした点では東野圭吾の「さまよう刃」の方がより深く、考えさせられた。

本書に出てくる復讐殺人に関わる人間は、まさに「殺人症候群」と言って良いほど、短絡的に殺人を犯す。そこに描かれる背景や、犯罪被害者としての苦しみの描かれ方に比して、その行為はやや唐突で軽率に感じられ、読者として置き去りにされた感が否めない。

心臓移植以外では助からない息子のために修羅となって、ドナーの若者の殺害を繰り返す母親が、天罰のごとく精神異常の若者に暴行・殺害されるシーンは凄惨で、後味が悪い。

全体として深みに欠けたまま、救われない方向へと展開する話であるが、これだけのボリュームを一気に読ませるのは著者の筆力のなせる業、というところだろうか。

4575510149殺人症候群
貫井 徳郎

双葉社 2005-06
売り上げランキング : 4,013

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顔 Face

「顔 Face」 横山秀夫
「だから女は使えねぇ!」鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。瑞穂が描くのは、 犯罪者の心の闇。追い詰めるのは「顔なき犯人」。鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。
おっと、しばらく前に読んどきながら書くのを忘れてた。^^横山 秀夫の「D県警モノ」なのですが、今回は「陰の季節」に収録された短編の1つに登場した「似顔絵婦警」の平野瑞穂が主人公。

相変わらず独特の雰囲気を持った警察小説、なのだけど、今回は男尊女卑の警察組織に翻弄されながらも健気に戦う似顔絵婦警、って感じが多少鼻につくように感じてしまった。筆者の新聞記者としての経験やその中で仕入れた女性に対する警察組織の古さみたいなのが全編に渡って書かれているのだけれど、ちょっとその密度が濃すぎたような気がする。
個人的には、そうしたものも内含しながらも、さまざまな部署、中間管理職の男の悲哀みたいなものも多く含まれていた「陰の~」の方が好きだったかな。

4198922330
横山 秀夫

徳間書店 2005-04
売り上げランキング : 8,366

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骨音-IWGP〈3〉

世界で一番早い音と続発するホームレス襲撃事件の関係は? 池袋ゲリラレイブで大放出された最凶ドラッグ「スネークバイト」の謎とマコトの恋のゆくえは・・・。現代のストリートの青春を生きいきと描き、日本のミステリーシー新しい世界を切り拓いた、ご存知IWGP第3弾!
今回は、スポーツクラブに通いだしたりして、読書ペースが落ちていたため、読破までに数週間かかっちまったい。IWGPその3.

だいぶシリーズとして落ち着いてきたためか、各短編のテーマもバラエティに富んだ感じで。
表題作の「骨音」は、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の特別編、「スープの回」で取り上げられた話。ドラマと小説は違うとはいえ、話の結末はいっしょのため、少々楽しめず。ーー;

「西一番街テイクアウト」は、マコトが幼い少女と出会い、彼女の母親の売春する権利をやくざから勝ち取る話。

「黄緑の神様」は、池袋に地域通貨を広めようとした若きNPOの依頼で、マコトが偽札犯を追う。

「西口ミッドサマー狂乱(レイブ)」では、レイブカルチャーをテーマとして、大規模レイブのオーガナイザ「ヘブン」のレイブで、強力で危険なドラッグ「スネークバイト」を売りさばく売人組織をマコトが追う。「ヘブン」の歌姫トワコとの短い恋もあり。

てな感じです。間が空いても最後まで読めたし、良いのだけど、星はひとつ下げちゃった。^^
ま、でも、肩の力を入れずに読める良い本だと思う。特に、池袋周辺に住んで6年以上たつ自分としては、話の随所で出てくる池袋の町並みや人の描写なんかが結構面白いし。今はこの本ほど西口公園には若者溜まってない気もするけど。

てな感じで。

4167174081骨音 池袋ウエストゲートパーク3
石田 衣良

文藝春秋 2004-09-03
売り上げランキング : 3,560

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少年計数機-IWGP〈2〉

自分が誰なのか確認するために、まわりのすべてを数え続ける少年・ヒロキ。その笑顔は十歳にして一切の他者を拒絶していた!マコトは複雑に絡んだ誘拐事件に巻きこまれていくが…。
ちょっと前ですが、2冊目読み終わりました。

結論から言って、前作よりマル。^^
ドラマIWGPの印象が徐々に薄れたせいもあるかも知れないけど、登場人物のキャラクターも固まり、トラブルシューターのマコト、タカシ率いるGボーイズ、やくざのホープのサルをはじめとした魅力的な登場人物とともにストーリーもテンポよく展開する。
シリーズものとしてはピークがこの2巻かもね。
おもろかったよ。

4167174065少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉
石田 衣良

文芸春秋 2002-05
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池袋ウエストゲートパーク

刺す少年、消える少女、潰し合うギャング団…。ストリートの「今」を鮮烈に刻む青春ミステリーのニュービート。オール読物推理小説新人賞受賞。
ブクロ最高ォ!みたいな。^^ クドカンの出世作ともなった同名ドラマの原作。ドラマの方はオンエアじゃなくて、しばらく経ってからビデオ借りて見たんだけど、ハマった。今更原作というのはどうか、と思いつつ読んでみた。

主人公真島誠(マコト)は、地元の工業高校を卒業後、池袋の実家の果物屋を手伝う傍ら、望まれるままにストリートのトラブルシューターとして、さまざまな事件に巻き込まれる。。

星3つにしたのは、自分のせい。もしくはクドカンのせい。^^
ドラマの印象が強すぎて、「池袋~」シリーズ第一作の本作は、ストーリーもあらかたドラマでわかってたし、登場人物もいちいちドラマのキャストが頭に浮かんでしまって、どうも新鮮な気持ちで読めなかった。
マコトはやっぱり長瀬智也だし、タカシは窪塚だし、ドーベルマン山井は坂口憲二が頭に浮かんでしまう。ヒカルは阿藤快、もとい加藤あいだし。
※どうでも良いけど、阿藤快の公式Webサイトヤバイね・・

あと、テレビのワイドショーとかでコメンテーターとして出演していた作者の石田 衣良も何かいやらしい感じだったのもちょっと思い出しちゃったりして。(笑)

でも、1冊読み終わる頃にはそうしたイメージも薄らいで、原作としての人物像が固まってきたので、結局良かったんじゃないかと。ドラマみてなかったら星4つつけてたかもな、と。毎回起こる奇妙な事件の中で、マコトの独特な語り口と根の優しさが気持ちよい。

とりあえず、ドラマを追い越してもう1冊読んでみようかな。

4167174030池袋ウエストゲートパーク
石田 衣良

文芸春秋 2001-07
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さまよう刃

さまよう刃」 東野 圭吾
蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?
これはわりと最近出たので書店でみかけたことがある人も多いんじゃないでしょうか。未成年による凶悪犯罪と遺族による復讐。更正と社会復帰に重きを置いた少年法と、割り切れない遺族の激情。結論が出ない問題と救われない結末を覚悟して読破。約3日。

描かれる事件の犯人は、間違いなく人間の屑であり、同時に身勝手で視野の狭い図体がでかいだけの「子供」である。弁護のしようもなく「鬼畜」「人外」どんなコトバで罵倒しようとも足りない生き物であり、そんな悪魔に愛する娘を奪われた父親が、憎悪に駆られた復讐に乗り出すのは自然であり、疑問は感じられない。

本書では、そうした共通の「感情」が、父親が逃亡中出会う女性や、彼を追う警察官、マスコミによる報道と、さまざまなところで表出するところを淡々と描いている。
「感情は理解できるが、復讐の容認は法秩序の崩壊に繋がる」とか、「憎しみは何も生まない、故人は帰ってこない」とか、「応報刑ではなく目的刑を」とか、そんなことは誰でも言えるが、そこには常に「当事者でなければ」という但し書きがつく。

復讐に燃える父親の猟銃、犯罪者として彼を追う警察官の国家権力、週刊誌やテレビに携わる人間の言葉や映像など、事件をとりまく全ての人の「刃(やいば)」は、結末に向けて、理性と抑えきれない情動との間でさまよい続ける。

作者の目的は、この永遠の課題について主観や意見を述べることでなく、読者をただ揺さぶることだろう。決して遠い世界の出来事でなく、身近に起こりうる悲劇を通して揺さぶるのだ。そのことは、法により父親が裁かれる法廷シーンが本書には存在しないことからも明らかではないか。

この悲劇にしばしの間身を投じて、自らの理性と情動のバランスを揺さぶってみたい方には本書をお薦めしたい。

・・・なんて、ちょっとレビューっぽい書き方をしてみました。

さまよう刃
東野 圭吾

朝日新聞社 2004-12
売り上げランキング : 989

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てのひらの闇

てのひらの闇」 藤原伊織
二人の男の道を決定づけたのは、生放送中のスタジオで発せられた、不用意な、しかし致命的な一言だった―。二十年後、その決着をつける時が訪れ、一人は自死を、一人は闘うことを選んだ。著者の新たな到達点を示す傑作。
これまた藤原伊織。アマゾンで一括購入したところ、間違えて文庫が出ているのにハードカバーで買ってしまった1冊。毎日ノートPCをかばんで持ち歩いてる俺にはちとつらい1週間でした。(笑)

前回は短編だったけれど、今回はまさに藤原伊織らしい長編。
この人の小説の主人公は、毎度かなり似ている。^^悪く言えばワンパターンなのかも知れないが、このノリが好きになってしまえばイイ感じである。

男性主人公の特徴:
・なんらかの過去を抱えている(ヤクザ絡みが多い)
・基本的に寡黙だが、いざという時には鋭い洞察力を発揮する
・喧嘩が強い(ハードボイルドとしては必須条件なのか)
・酒が好き
・普段はだらしなくズボラ、周囲から良く見られようとはこれっぽっちも思っていない
・実はインテリ
・恋愛については鈍感、無頓着。それでいて女性をひきつける魅力がある。

女性主人公の特徴:
・気が強く、そこらの男にはなびかない
・冒険心があり、危険な状況にも臆さない
・上記男性主人公に惹きつけられ、ストレートに感情をぶつける

今回もまぁ、こんな感じなのだけど、最後まで楽しめた。
娯楽映画を見ているような感じもあり、良い。以上。(笑)

てのひらの闇
藤原 伊織

文芸春秋 1999-10
売り上げランキング : 231,151

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雪が降る

雪が降る」 藤原伊織
母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。苦い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の六篇。
藤原伊織は3冊目かな。今回は短編集。

藤原伊織の文章は結構好きだ。短く、シンプルに頭に次々と入ってくる。だから緊迫感のあるシーンではテンポが損なわれることがないし、感傷にひたるような時もしつこくない。ドラマチックな演出もくどさが感じられずに割と素直に読めてしまう。
そんな感じ。

「台風」
会社で隣の部署の元部下が上司を刺すというショッキングな事件を目撃した帰り、電車の窓から強い雨が降るのを見て、主人公は過去に目撃した「殺人者」を思い出す。主人公の回想の中で描かれる少年の目から見た男女の恋、そして突然の殺意。少々ビリヤードのシーンが長く感じたが、全体としては良い。

「雪が降る」
タイトルとなった短編でもあり、「母を殺した」という少年からのショッキングなメールで話は始まるが、とてもロマンチックな話。

「銀の塩」
なんと主人公は、「テロリスト~」の島村。彼が新宿のバーテンとなり事件が起こる前の、逃亡の日々に起こった1つのエピソードとして書かれている。アパートの隣人である外国人ショヘルに誘われて行った避暑地。そこで起こった事件の顛末。
これはイマイチ。島村の洞察力の鋭さみたいのが唐突過ぎて逆効果。

「トマト」
短くて、ちょっと意味不明な感じ。^^

「紅の樹」
十八番のハードボイルド。ヤクザから足を荒い、ひっそりと暮らす堀江。隣に越してきた子連れの女、静江が分かれた夫の借金が原因でトラブルに。。少しずつ静江に魅かれていた堀江の決断とは・・みたいな感じ。良い。

「ダリアの夏」
夏。配送業者でアルバイトをする孝志は、荷物の届け先で篠崎由利と出会う。彼女の家の庭にはむせかえるように赤いダリアの花が咲き乱れていた。やがて、彼女とその息子、そしてそこで同居する老人との間にはある過去が・・
これもなかなか。春なのに、夏の雰囲気や色彩が伝わってきた。

雪が降る
藤原 伊織

講談社 2001-06
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動機

動機」 横山秀夫
署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠玉の四篇を収録。
「陰の季節」に続いて横山秀夫の短編集。 つうか短編でここまで読ませて満足させるってのがスゴイ。良いです。

「動機」
警察モノ!なんかヤミツキになっちゃいそうな警察管理部門モノ。^^
今回も、警務部企画調査官が主役。事件は30冊の警察手帳紛失事件。警務部が推進する警察手帳の署内一括保管制度。その試験運用中に起こった前代未聞の紛失事件。旧体質の刑事部による内部犯行かそれとも・・・独特の警察組織の中で、「会社人間」を突き進む主人公の手探りの捜査と、最後にわかる事件の真相。

「逆転の夏」
女子高生強姦殺人事件にて有罪判決を受け、12年の服役後社会生活を再開する主人公。腹の底にただよう絶望と恨みに耐えながら生きる毎日は、ある日かかってきた電話により次第に変容していく。「殺して欲しい男がいる。あなたならわかってくれるはずだ。」これまたちょうど良い長さで、ラストもなかなか。(少々予想できてしまったが)

そのほか、「ネタ元」「密室の人」など。
オススメです。

動機
横山 秀夫

文芸春秋 2002-11
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邪魔(上)(下)

邪魔〈上〉(下)」 奥田英郎
及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。
奥田英郎2冊目。これもコメントで紹介頂いてたもの。

「最悪」に続いてこれも良かった。「最悪」と筋も似ているといえば似ているのだけれど、どこにでもいるような平凡な登場人物が、ある出来事をきっかけに、転がり落ちるように不幸に巻き込まれていく。あこがれのマイホームで夫と小さな子供に囲まれ、平凡ながら幸せに暮らし始めた主婦、妻に先立たれ一時は生きる希望を失ったが何とか刑事として毎日を送る男。彼らを奈落の底に突き落とすのは、自ら犯した罪や天変地異ではなく、ごく身近な存在の夫であり、同僚なのだ。
「夫が会社で小さな着服を繰り返す」「女で問題を起こした同僚に逆恨みをされる」といった小さなことから、1人の人間がいかに極限まで追い詰められ、判断を失い、破滅へ向かうのか。
他人が自分の「邪魔」をする、自分が他人の「邪魔」をする。他者との関わりなくして存在しえない人生の恐さがわかる一冊。^^

邪魔〈上〉
奥田 英朗

講談社 2004-03
売り上げランキング : 10,497

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警察管理部門小説

陰の季節」 横山秀夫
警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた…。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。
タケダくんの薦めに従い読んでみた。D県警本部の警務課を舞台にした4編からなる短編集。面白かった。

巻末の解説でも書いてあるけど、一般に警察を主役にしたミステリー小説は、いわゆる「捜査畑」を中心に事件捜査を追っていくものが多いのに対して、この本では全て管理部門の人間が主人公で、扱うのも派手な事件ではなく、人事のゴタゴタや職員の失踪、出世をめぐる駆け引きなど。そうしたところが新鮮で楽しめた。

そもそも短編って、のめり込むには短すぎるし、無理やり押し込めたような筋の場合は消化不良感が残ったりするので敬遠してたんだけど、今回はどれも程よい長さで満足感のあるものばかりだった。また、4篇それぞれ主人公は異なるのだが、D県警内でそれぞれの登場人物が微妙な接点でクロスオーバーするところなんかが憎い。
「半落ち」も読んでみるかな。。

陰の季節
横山 秀夫

文芸春秋 2001-10
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勝ち犬とか負け犬とかじゃなくて。

対岸の彼女」 角田光代
30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?
書店に行けば並んでる言わずもがなのベストセラーなんでしょうか。というか、この紹介文がイケてね~よ。別に「勝ち犬」だの「負け犬」だのを語っている本ではね~です。--; タイプの異なる「二人」と「二人」の物語。

どこにでもある高校の、どこにでもある女同士の友達関係。
ささいなことから離合集散を繰り返し、時には残酷なまでの排他性を示すこともあるこの関係に、どうしてもなじめなかったナナコと葵。全くタイプは違うけれど、どこか深いところで惹かれあう二人は、夏休みの住み込みバイトに出かけたまま逃避行へ。。
時は流れ、周囲の同じ境遇の女性ともなじめず幼い子供を連れ公園を渡り歩く主婦小夜子は、ひょんなことから小さな旅行会社の「清掃」担当として働きはじめる。その会社の女社長は葵といった。

人間関係の多くは表面的なものであったり、小さな裏切りの連続だったりすると思うのだけれど、そうしたものに人一倍傷つく一方で、誰かと絶対的なつながりを切望してしまう。適当な関係だったら要らないと強がってみたり、気づかないふりをして大勢と空騒ぎしてみたりするけれど、心の隙間は埋まらない。そんなところが異なる二人を結びつける。

個人的には、こうした部分を「弱さ」と切り捨てて、さまざまな人間関係から得られるものを得て、自分が充実できるように生きて行くべきだと思っているのだけど、いろいろ考えさせられることもある。

なんて感じで2日で読みきってしまいました。^^

対岸の彼女
角田 光代

文藝春秋 2004-11-09
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頭の良くなる薬の本

ブレイン・ドラッグ」 アラン・グリン
脳を活性化する薬、MDT‐48。変死した男から錠剤を入手したのは売れない物書きエディ。服用すれば仕事は迅速、投資は成功、話術も冴えて注目の的。一気に人生の勝ち組に…だが無論、うまい話にはヤバい裏があるのだ。成功から破滅へ猛然と転落、英国推理作家協会新人賞候補作となった悪夢のサスペンス。
本当にこんな薬があったらどうなっちまうんでしょう。

これもねぇ、オモロかった。いかにも舶来モノな感じのサスペンス。
いろんなレビューでも書かれてるけど、一番の見所はMDT-48を服用したエディが巻き起こす、驚異的な出来事の数々。それまで曇っていた頭の中が一転してすっきりと晴れ渡り、バイタリティと創造的な活動への衝動が沸き起こる。これまで数週間も格闘してきた本の執筆は、わずか数時間で大傑作となり、株を始めれば一晩で巨万の富を稼ぎ出す。
薬に助けを借りたサクセスストーリーの一方で、徐々に現れ始める副作用。お定まりといえばそれでおしまいなのだけど、仮想体験というのも小説の大きな楽しみのひとつかな、と。
ありえない薬によるありえない成功と挫折の物語にひたってみるのもなかなか良いモノでしたよ。

ブレイン・ドラッグ
アラン グリン Alan Glynn 田村 義進

文芸春秋 2004-02
売り上げランキング : 21,786

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3人の最悪な人生

最悪」 奥田英郎
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
前回、コメントで推薦してもらったのを読んでみました。

なかなか面白かった。真面目一徹で鉄工所を切り盛りしてきた川谷、奔放・わがままに振舞う妹を横目に「良い子」でいることが身に染み付いてしまった銀行員のみどり、何の希望もなくパチンコとカツアゲで日々をやりすごすニートのチンピラ和也。それぞれ悩みを抱えた3人が、わずかなボタンの掛け違いから次第に逃れられない不幸、まさに「最悪な状況」へと転がり落ちていく。この3人のエピソードが、人称のきっちりした使い分けとともに、カメラが切り替わるように代わる代わる進行していき、最後に1つに繋がっていくあたりが、ありがちな展開であるけれども読んでいて気持ちがよかった。

3人皆が、「何でこんなことになるのだ」「どうして自分ばかりがこんな目に」と自分の不運を呪うのだが、結局、誰の人生でもそうした悩みや、一歩間違えるだけで奈落の底に落ちてしまうことがあるんだろう。そして、それはいつも本人にしかわからないコンテキストがあり、他者の目を通して見れば、理解不能だったり奇妙だったりすることもある。

そんな感じ。

最悪
奥田 英朗

講談社 2002-09
売り上げランキング : 2,377

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宮部、藤原、東野

すっかり定着化した読書。最近読んだ本をまた紹介。
今回は、宮部みゆき、藤原伊織、東野圭吾など。。

ぼんくら(上・下)」 宮部みゆき
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。
宮部みゆきの時代モノ。前半は、江戸深川の鉄瓶長屋を舞台としたほのぼのしたショートストーリーがいくつか展開、やがてそれらが大きな事件に繋がっていくのだけれど、全体としてはまぁまぁ。キャラが立ってくると、いい雰囲気が出てくるのだけれど、それほど引き込まれませんでした。
ぼんくら〈上〉
宮部 みゆき

講談社 2004-04
売り上げランキング : 4,070

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火車」 宮部みゆき
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
また宮部。^^なんかね、本屋に行く時間がなくて、読むものがなくなってしまうと、手持ち無沙汰になってしまって。会社のビルの本屋でとにかく購入。 結論から言うと、なかなか面白く読めた。個人的にはラストがちと残念。
火車
宮部 みゆき

新潮社 1998-01
売り上げランキング : 3,315

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テロリストのパラソル」 藤原 伊織
アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し20年以上もひっそりと暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。知らぬ間に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た事実とは……。史上初の乱歩賞&直木賞W受賞作。
会社の後輩から紹介され、手に取った1冊。文句なく面白かった。無駄や飾り気がなく、それでいて味のある文章と、テンポの良い展開、くっきりした登場人物。あっという間に読んでしまった。いわゆる「ハードボイルド」ってジャンルになるんだろうけど、非常に新鮮。後半にかけてのたたみ掛けでちょっと非現実的な部分もあったけれど、さほど気にならず。他の人にも薦めたいと思える1冊だった。
テロリストのパラソル
藤原 伊織

講談社 1998-07
売り上げランキング : 43,796

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親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。
★で行ったら、「★★★+0.5」って感じだったのだけれど、読んでいてなんか面白かったのが、人物描写。

---夏江は俺の話を聞きながら、ゆっくりと首を縦に動かし、やがてその速度を上げていった。(講談社文庫 p17)

---俺は小さく頷いた。その首の動きを徐々に大きくしていった。(同 p190)

なにコレ!?と俺は思ったのだけど。^^
まあ、言われるがままに自分でその動作をやってみると、確かにそういう風にうなづきながら首振ってる人いるかも知れないけど、なんとも理系の人的な表現だなぁ。と思った次第。

文系理系で分けるってのも意味ない議論だけど、直感でそう思ったってだけ。なんか笑える表現。

パラレルワールド・ラブストーリー
東野 圭吾

講談社 1998-03
売り上げランキング : 2,949

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ひまわりの祝祭」 藤原 伊織
自殺した妻は妊娠を隠していた。何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが…。名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編。
前作はしのいでいなかったと思う。残念ながら。「テロリスト~」にあった全編にわたる心地よい緊張感というか、そういうものが少なかった感じ。ファン・ゴッホの描いた「もう1枚のひまわり」と主人公のトラウマとなっている妻の死が繋がっていく過程についても前作ほどのキレがないような。。残念。
ひまわりの祝祭
藤原 伊織

講談社 2000-06
売り上げランキング : 219,648

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読書の冬?

ちょっと前から、お仕事がちと忙しくなりまして、ほとんどプライベートで楽しむことがありません。^^朝から夜中まで、追いかけられるように仕事をしている毎日で、リラックスできる時間もかなり限定的。そんな中で、結構続いちゃってるのが、通勤時間の読書。
朝は埼京線の電車の中、夜はタクシーの中で、細切れの時間をつむぎ合わせての読書。でも、意外と読めるもんですね。

慟哭」 貫井 徳朗
連続する幼女誘事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。若手キャリアの課長を巡って警察内部に不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。人は耐えがたい悲しみに慟哭する――新興宗教や現代の家族愛を題材に内奥の痛切な叫びを描破した、鮮烈デビュー作。
友人のオオハシからの薦めで読んだ本。最初に読んだ短編集の「崩れる」より、個人的にははるかに面白く読めた。^^ ミステリーとしては反則だ、なんて声も聞かれるけど、自分的には素直に騙されちゃったし、別に読後感も悪くはなかった。アマゾンなんかの書評を見ると、この本が売れてたときの帯を見て結論が先に見えたとか、そんなのも多かったので、いろいろ先入観を持たずに読むのが良いのかね。2本のタイムラインがどう交わるのかってのが肝。あ、言っちゃった。(笑)
慟哭
貫井 徳郎

東京創元社 1999-03
売り上げランキング : 28,525

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オー・マイ・ガァッ!」 浅田 次郎
諸君、悩むな。ラスベガスがあるじゃないか。くすぶり人生に一発逆転、史上最高額のジャックポットを叩き出せ! ワケありの三人が一台のスロットマシンの前で巡り会って、さあ大変。笑いと涙の傑作エンタテインメント。
あのねぇ、面白くない。きっぱり。筆者がラスベガス好きなのはわかりましたが、小説としてはちょっと楽しめませんわ。なんか、ドタバタの学芸会みたいな感じで。無論、狙って書いてるんでしょうけど。「蒼穹の昴」が面白かっただけに落差デカっ!
オー・マイ・ガアッ!
浅田 次郎

集英社 2004-11
売り上げランキング : 13,460

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理由」 宮部 みゆき
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった…。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
映画になったりもするんだそうだが、まぁまぁ、かな。全編を通して実際に起こった事件のルポタージュ調の語り口。全ての事件が起こった後に、筆者が関係者へのインタビューや独自調査によって事件の全容に迫る、みたいな風に書いてある。そのため、随所に「このときは~はまだ~を知る由もなかったのだが」みたいな記述が目についた。話自体は面白かったけど、全体のテンポとかぐいぐい引き込まれるような感じはなかった。(といっても15分程度の読書の積み上げで読んだからかも知れないけど。。)
理由
宮部 みゆき

新潮社 2004-06-29
売り上げランキング : 13,632

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レベル7」 宮部 みゆき
レベル7まで行ったら戻れない―。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。
宮部みゆき2冊目。「理由」でちょっと消化不良気味だったので、もう1冊読んでみようと思ったけど、これは面白かった。前半は割りと時間をかけて記憶喪失で目覚めた主人公2人が手探りで立ち上がる様や、みさおを探すカウンセラー「真行寺さん」のエピソードで少々間延びした感じがあったけれど、後半急にテンポアップした。ラストはちょっと簡単な気もしたけど、なかなか楽しめました。
レベル7(セブン)
宮部 みゆき

新潮社 1993-09
売り上げランキング : 8,103

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バッテリー」 あさのあつこ
「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。―関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。
もともと読書家でも何でもなかったので、行き当たりばったりでベストセラー本に手を出す毎日。で、「本の雑誌」の創刊号かなんかでベタほめされてたのがこの「バッテリー」。読んでみると、確かに児童文学。転向してきた自信家の才能あるピッチャー巧が、心のやさしい少年豪や他の友人たちに囲まれ野球を通じて・・・みたいな内容。 でも、不思議とどんどん読み進めてしまう。全部で6巻とかあるんだけど、あっという間に2巻読破。こりゃ確実に6巻までいってまう。漫画みたいにくっきりした登場人物のキャラクターと、忘れてしまったどこか懐かしい田舎の雰囲気、美しい自然描写。なんかね、オジサンにウケるのもわかる気がします。今んとこオモシロいよ。
バッテリー
あさの あつこ

角川書店 2003-12
売り上げランキング : 2,830

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読書の秋

最近、仕事が結構忙しくて、イマイチ気分転換ができない。休日は疲れがたまっているのか、結局寝るだけで終わってしまったり、なんか趣味に手を出そうと思っても、時間のかかるものばかりで、達成感を得る前に時間が経過する空しさに負けてしまったり。
そんな中、久しぶりに小説を読み出した。気がつけば社会人になってから小説なんてほとんど読んでおらず、読む活字といえばもっぱら雑誌やWebサイトの情報記事ばかり。
少し前に呼んだ「ダ・ヴィンチ・コード 」をきっかけに、通勤電車の中でのつかの間の現実逃避にハマっています。

で、最近読んだ本の紹介。

ダ・ヴィンチ・コード 」上・下 ダン・ブラウン
ルーブル美術館で起きた殺人事件をきっかけに、象徴学者のロバート・ラングドンはキリスト教をとりまく秘密結社の存在や謎に巻き込まれる。事件の容疑者として逃亡を続ける中で、様々な芸術作品に散りばめられた謎解きをしながら、やがて驚くべき事実へとたどりつく。。
みたいな内容。大ベストセラーってことで、タイトルは聞いたことある人がほとんどかも。
まあ、素直な感想は「まあまあ」。時間つぶしにはなるけど、ハードカバー2冊で4,000円近く払う価値はないかな。キリスト教や宗教芸術に興味のある人であれば、それなりに楽しめるでしょう。

ダ・ヴィンチ・コード (上)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2004-05-31
売り上げランキング : 67

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リプレイ」 ケン・グリムウッド
これは、随分昔、高校1年生くらいのときに読んだ小説。読むものがなかったので、本棚からひっぱり出してきてもう一回読んでみた。初回ほどの感動はなかったものの、それなりに楽しめた。
ストーリーは、ラジオ局のディレクターである主人公が43歳のある日死亡するところから始まる。死んだはずの彼が目覚めたのは、18歳の頃の学生寮。運命の不思議ないたずらから、彼はもう一度人生をやり直す。。
この本で面白いのは、43歳で死亡してから18歳へ戻り、全く異なる第二の人生を過ごした後、まだ43歳で死亡し、再び18歳へ・・と人生のループという稀有な体験を描いているところ。正確に言えば繰り返しではなく、43歳を最終地点として18歳、18歳nヶ月、19歳・・・といういう風に、等比級数的な反復による「リプレイ」が進んでいく。さまざまな人生を送りながら、作り上げたものが全て再び失われてしまう喪失感・挫折感を繰り返して、彼が最後に到達するのは・・
てな感じ。なんでも、最近「リプレイJ」とかいう漫画化もされているそうな。。

リプレイ
ケン・グリムウッド

新潮社 1990-07
売り上げランキング : 23,719

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蒼穹の昴」 全4巻 浅田 次郎
「汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう」中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた2人を待ち受ける宿命の覇道。
これも現在書店に大々的に並んでおりますが。郷士の家で不自由なく育った文秀は、科挙の難関を経て進士の道を、貧しい糞拾いの家に生まれた春児は自ら男性自身を切り落として宦官の道を進む。全く異なる道で立身出世を遂げる二人は、やがて清末期の時代の激流の中で互いに敵となっていく。。
4巻という大作だが、あっと言う間に読みきってしまうほど面白い。中国歴史小説のお約束たる「天命」と、その具現である「龍玉(ロンユイ)」に翻弄される皇族や官僚、儒教に立脚する若き進士の秀才たちの生き様、宦官の道を選びながら突出した能力と人望で西大后の寵愛を獲得する春児の小気味よさなど、読んでいてぐいぐい引き込まれた。

仕事から離れて、一気に現実逃避するには小説が一番!なんて思う今日この頃。。

蒼穹の昴(1)
浅田 次郎

講談社 2004-10-15
売り上げランキング : 8,041

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